多肉植物は氷河期に繁栄し 、間氷期は冷涼な高地に避難するのだそうです。

ナミビアや南アフリカは、国土全体の平均標高がおよそ1000m程もあり、緯度に比べ冷涼でした。ここは隆起サンゴ礁の台地でヤギや牛の放牧がおこなわれています。夏の雨季で正午には40度になり、午後から、強烈な積乱雲が発達し、大雨になります。気温が一気に30℃下がる毎日でした。木陰にスタペリア等が生えていますが、日本の夏の方が多肉には過酷と思えました。
戦後、小豆島寒霞渓で自生のミセバヤが見つかり自生地だった事がわかりました。当時、発見された苗が多く挿し木で増やされていて、その苗から種子を採り、実生した苗です。
氷河期遺存植物で、冷涼な北海道のミセバヤは、海岸沿いの岩場や崖に生えています。西日本のミセバヤは、熱さを嫌い、山の半日陰に生えている。平地の直射で栽培するのは困難です。ヒダカミセバヤと小豆島のミセバヤの標高差は500m程度になります。

間氷期になり、南アフリカのメセンは、涼しい山に移動して夏に成長するタイプと西海岸沿岸部(低地)で乾燥する灼熱の夏を休眠して、湿潤で暖かな冬に成長するメセン等に分かれています。双方、選択肢が他になかったのでしょう。暑さに弱いので、日本で冬型メセンと呼ばれていますが、自生地では単純化できるようなものでは、ない様です。コノフィツムにも冬型と夏型がありますし、リトープスも少数が冬に成長しています。

氷河期遺存の締めは、Delosperma sawdahense サウジアラビア/イエメン国境の標高2000-2500mあたりに自生している。氷河遺存の多肉植物として以前から入手したい苗でドイツから輸入しました。氷河期にはアフリカ中にメセンが生えていたのでしょう。自家受粉すると花の色に多様性がでますが丹念に違う苗から交配すると赤紫の花が主になります。栽培しやすいです。